明日への扉 - DVを予防するために
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が制定されて20年以上経ちましたが、近年はコロナ禍もあって被害数は増加していると見られています。DV予防について啓発を行う「参画ネットなら」代表の藤堂宏子さん(70)に話を聞きました。
家を出たり戻ったりを平均7回繰り返し
DVというと、なぐる、けるのような直接的な暴力をイメージしがちですが、暴力にもいろいろあります。
①身体的暴力
つねったり、髪を引っ張るなども含む。
②精神的暴力
どなる、無視、交友関係を制限するなど。
③金銭的暴力
配偶者にお金を渡さない。お金を返さない。
④性的暴力
配偶者でも、相手の同意がない行為は暴力。
⑤デジタル暴力
スマートフォンを勝手に見たり、アドレスを勝手に消す。予定共有アプリで相手の行動を束縛するなど。
これらが多くの場合複合して起こります。
DVにあっている人は、一旦別居するものの決心が付かず、家に戻るということを平均7回繰り返しています。また「自分が我慢すればよい」と自分がDVの被害にあっていると気付いていないことも多くあります。
DVの要因は?旧来のジェンダーの思い込み
DVの要因として、旧来のジェンダーに関する思い込みがあります。社会の中で「男らしさ」「女らしさ」を求められる場面はまだまだあります。内容の一つ一つが悪いわけではありませんが、より大切なことは「自分らしさ」です。
若い世代でも、旧来の意識を持ったまま結婚している人は多くいます。家事の分担が女性に偏っていたり、男性が家事をしても「手伝う」「やってあげている」という感覚で、最後まで責任を持ってやっていないため女性に文句を言われ、「こんなにやっているのに」とDVにつながることもあります。
女性の方も「女性はこうあらねば」という思い込みを持っていたり、男性も「男性だから大黒柱として頑張らねば」と弱音も吐けず、ジェンダーに縛られているともいえます。
正しい知識は武器に相手を尊重できる関係を
本来あるべきはパートナーとお互いを尊重して、嫌なことは嫌と言える関係です。頭では分かっていても、小さい時からしみついたジェンダー意識を変えることは簡単ではなく、時間も掛かります。
正しい知識は武器になります。DV被害にあっても、支配されている意識から解放され、自分を変えることができれば、もし離婚するという選択をしたとしても、その後の生活が前を向いたものになります。
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「家でも夫婦関係を見直して、相手を尊重できているかどうか考えてほしい」と藤堂さん。まずは「おうち」の中からジェンダー平等を実現することが、DVの加害者にも被害者にもならないことにつながると話します。
【メモ】
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※このページの内容は2022年8月5日現在のものです。