明日への扉 - 性暴力被害
性暴力のない社会へ 世間の無関心は悲しい
2017年、110年ぶりに性暴力に関する刑法が改正されました。更なる改正も求められていますが、性暴力の問題も少しずつ動き始めています。県内でサポート支援などを行う竹谷栄美さん(53)に、今の問題点や今後の動きについて聞きました。
性的同意年齢引き上げ 不同意性交等を罪に
2017年の改正で、被害者の対象が性別を問わなくなり、保護者などによる「監護者わいせつ罪」や「監護者性交等罪」も新設されました。
しかし、性的同意年齢は世界的にも低い13歳のまま。また暴行または脅迫を用いて、心神喪失や抗拒不能の状態で性交等を行った場合にのみ処罰されるというのが今の刑法ですが、同意のない性交自体が犯罪ではないかと、更なる刑法改正への議論が進んでいます。
そういったことを社会に向けて訴えているのがフラワーデモ。花を身に付けてプラカードを持ち、性暴力の根絶を目指しています。
被害者の自助グループ 経年で後遺症も複雑に
「見た目や状況で『被害者に非があるのでは』『嫌と言わなかったのか』『逃げられたのでは』と思われることも多い」と竹谷さん。性暴力に遭った時、危険を感じて固まってし険を感じて固まってしまっていても、抵抗しなかったとみなされ、今の刑法では犯罪行為とされないこともありますが「誰もが抵抗できるわけではない」と言います。
竹谷さんは性暴力のサポートセンターで支援を行うほか、県内で性暴力被害者の自助グループ「MeTooの会」を立ち上げ、月に一度集まる会を開いています。そこでは被害の当事者たちが誰にも言えなかったことを少しずつ話し、聞く人はすべてを受け入れます。会に参加する人の中には、40〜50年前の被害をようやく言えたという人もいるそうです。年数が経つほど、その間の人間関係もからんで後遺症も複雑になります。
性別年齢関係なく対象 専門機関に相談を
身近な人が被害に遭った時、事実を受け止められず「気のせいでは」「犬に噛まれたと思って」「大丈夫」など、慰めるつもりで言ってしまうこともありますが、当事者はそれではが、当事者はそれではケアされません。
「そんな時は慰めの言葉を掛けず『一緒に専門機関に相談しよう』と言ってほしい」と竹谷さん。今は各都道府県に専門の相談窓口もできています。また、竹谷さんはメール相談も受け付け、相談窓口などの情報提供を行っています。
「自分は関係ないと思わないでほしい」。性被害に遭うのは、年齢も性別も関係ありません。自分でなくとも、身近な人が被害に遭う可能性もあります。目指すのは性暴力がない社会ですが、そのためにはまず世間に知ってもらうこと。「当事者にとって、世間の無関心が悲しいこと」と竹谷さんは話します。
【メモ】
「MeTooの会」
https://www.salonlinamis.com/
性暴力被害者相談の全国共通短縮番号
#8891(はやくワンストップ)
※このページの内容は2021年7月2日現在のものです。