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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.17「気圧不調」にお困りの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は梅雨の季節を前に、「気圧不調」に悩んでいる方に読んでいただきたいお話です。

 

 

漢方の考えを利用した原因と対策

 雨が降る前になると決まって調子が悪くなるけれど、これといった対策もなく我慢して治まるのを待つしかない、という悩みは性別や年齢に関係なく幅広い世代から聞かれます。
 具体的な症状としては、頭痛、めまい、倦怠感、だるさ、むくみ、気分の落ち込みなどさまざまで、症状に応じて薬を飲んだり静養したりして、やり過ごしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 気圧だけでなく、天気、気温、湿度などの変化が引き金になって起こることから気象病や天気痛といわれるものもあります。
 漢方の考えを利用してどのようなことが考えられるか、原因と対策を挙げてみたいと思います。

 

耳の過剰反応と自律神経のバランスの乱れが関係

 気圧不調の原因は他の気象病同様に、気圧の変化を感じ取る耳の過剰反応と、それによる自律神経のバランスの乱れが関係しているのではないかといわれています。
 「耳」は、漢方では「腎」と関連づけられています。「腎」は、腎臓としての水分代謝やホルモンなど内分泌系、生殖や成長発育から老化に至る生命活動のもととなる「精」も担っていることから、耳が関係する不調は「水毒」といい、腎の働きを補って水分代謝を整えることを基本とします。
 また、自律神経系は季節や環境の影響も受けることから、変化に応じて対応することも大切です。
 春先であれば、イライラ感、焦燥感、憂うつ感など精神不安が現れやすくなったり、めまいや頭痛なども起こりやすい時期です。
 梅雨や雨天が多い時期や台風シーズンは、気分的にも身体的にも重だるさを感じやすく、モヤモヤ感、食欲不振、リウマチや持病の痛みに悪化がみられたりします。
 秋から冬にかけては乾燥による呼吸器系のトラブルが起こりやすく、喘息や咳が悪化したり風邪をひくことも多くなります。
 このように、外的要因と内面の状態は関連して、身体面にも精神面にもさまざまなトラブルの要因となっているといえます。

 

外的要因に対して抵抗力が足りないと不調に

 漢方では、外的要因である「湿」や「風」による影響に対して、内的要因である身体の抵抗力が足りない場合に不調が起きるととらえ対応していきます。
 例えば、運動不足で汗をかくことが少なく水分代謝が低下していたり、水分を摂り過ぎていたりすると「湿」が溜まって、頭重感やだるさやむくみ、関節痛や軟便などは悪化しやすくなります。
 湿気や水分に対して「風」は軽く揺れ動く性質を持ったものであるため、肩や首のコリや頭痛、めまいなど上部に不調が出やすくなるのが特徴です。

 

体調を崩した時は立ち止まって生活を見直す機会に

 漢方では、水分代謝を整えて余分な水分の排出を助けたり、気のめぐりを整えて精神面の安定に作用する生薬などもありますので、トラブルの要因に応じて選択することができます。
 体質的には、胃腸が弱く体力不足のタイプに起こりやすい傾向がみられますが、無理をし過ぎて消耗した結果として弱ってしまったという方もいますので、違和感があれば無理せず静養することも大切です。

 

水分代謝を整えるのにおすすめの食材:あずき、とうもろこし、きゅうり、冬瓜、ゴーヤ、緑豆など

気のめぐりをスムーズにするおすすめの食材:柑橘類、セロリ、パセリ、ミントなど香りのよいもの

 

 不調は、ひとつの原因だけで起きるものではなく、長年の習慣や季節や環境などが絡み合った結果として生じるものですから、体調を崩した時には少し立ち止まって生活を見直す機会としてみてはいかがでしょうか。
 睡眠不足は、体力気力の補充やリセットが不十分になることから、変化を受けとめる土台そのものに余裕がなくなってしまいます。優先して見直したいポイントのひとつですね。

※このページの内容は2023年5月19日現在のものです。

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