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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.21「尿漏れ」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回はあまり他人には言いにくい悩みのひとつである「尿漏れ」についてのお話です。

 

 

他人には言いにくい困りごと

 ちょっと恥ずかしくてあまり他人には言いたくないけれど、お困りの方が多い悩みのひとつに「尿漏れ」があります。
 物を持ち上げようとした時、くしゃみをした時、笑った時、日常の何気ない一瞬に「あっ、漏れた?!」という経験はありませんか。40代以降の女性の4割以上が経験していることから、なんとなく年齢のせいにしてやり過ごしている方も見受けられますが、「漏れ」が気になって外出したり、人と会ったりするのもおっくうになり、ストレスや不安を感じたりするなど、生活面でも厄介だという声も聞かれます。

 

 

尿漏れの原因は?

  一般的に「尿漏れ」は産後や高齢者のイメージがありますが、なぜ起こるのでしょうか。
 「自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう」という症状は「尿漏れ」もしくは「尿失禁」といいます。
 お腹に力が入った時に漏れてしまう「腹圧性尿失禁」、急に尿意を感じトイレに間に合わない「切迫性尿失禁」、両方の症状が重なった「混合性尿失禁」などがあります。
 「腹圧性尿失禁」は女性に多く、週1回以上経験している女性は500万人以上といわれています。加齢や出産がきっかけで、骨盤底筋群という尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)を含む骨盤底の筋肉が緩むことが原因とされます。
 女性の場合は更年期には加齢による筋力低下と女性ホルモンの急激な減少も、膀胱や子宮などの臓器を支えている骨盤底筋が緩むことにつながります。
 「切迫性尿失禁」は、急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう現象で、脳からの排尿の指令系統がうまくいかないことがあげられます。
 脳血管障害のほか、男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も原因になる場合があるようですが、病気などの理由がなくても膀胱が勝手に収縮する場合もあります。

 

 

運動やトレーニングと併せ漢方で補強も

 

 運動やトレーニングも試したけれどなかなか改善が難しい場合は、漢方の視点から補強してみるのもひとつです。
 漢方では、筋力低下のほかに、「腎」と「膀胱」の衰え(=「腎虚」)が主な要因ととらえます。
 「腎」は、尿を生成する機能を持ち、「膀胱」は尿を貯めて排泄する機能を持ちます。
 「腎」と「膀胱」は円滑な排尿活動となるよう協力し合っており、その機能が衰えるために尿漏れが起きてしまいます。
 このような尿漏れに対しては、運動やトレーニングと併せて、体質に合わせた「補腎薬」で「腎」の働きを補い、漏れないようにするための固渋収斂作用(こじゅうしゅうれんさよう)のある漢方薬を用いると効果的です。

 

 

尿漏れチェックやトレーニングも

 尿漏れチェックで、2つ以上あてはまる方は要注意です。

 

○急に立ち上がったり、動いたりした時に不意に漏れたことがある
○咳やくしゃみ、大きい声を出したりした時に不意に漏れたことがある
○1日に10回以上トイレに行きたくなる
○尿意を感じないのに漏れてしまうことがある
○排尿後に漏れてしまったことがある
○夜間尿が3回以上ある
○尿意がきた時に我慢できずに漏れてしまったことがある

 

 10分程度の時間で手軽にできるトレーニングもお試しください。

 

1・椅子に浅く座りながら背筋を伸ばす
2・肩に力を入れずに、肛門、尿道、膣などをキュッと上に持ち上げる意識をもって締め、5秒ほどキープしてから力を抜く
3・無理せずできる範囲で繰り返す

 

 漢方では、「腎」は生命力・水分代謝・生殖機能・泌尿器系を司るとされ、加齢にともない誰もが衰えていきます。
 冷えや血行不良なども要因の一つになっている場合もありますので、食事や生活面も工夫しながら弱った働きを補い、毎日を快適に過ごせるよう整えましょう。

※このページの内容は2023年9月15日現在のものです。

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