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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.26「便秘」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は「便秘」に悩む方に読んでいただきたいお話です。

 


たかが便秘、されど便秘

 

 スッキリお通じがないと、その日1日のやる気にまで影響するという方もいるのではないでしょうか。
 便通が不順な方にとっては、気温の変化への順応や、進学・就職・引っ越しなどの転機が体へのストレスとなり、自律神経のバランスの乱れが便秘のきっかけとなることも多いようです。
 快便は、快眠、快食と同様に健康的な生活を支えるための三原則の一つといわれています。ところが、不規則な食生活や栄養バランスの偏った食事、運動不足やストレスなど生活環境が要因となって、便秘の有訴率が男女問わず年々増加傾向にあるといわれています。

 

便秘とは?

 そもそも便秘とは、一般的に3日以上便通がない状態をいいますが、「慢性便秘症診療ガイドライン」では、国際的な基準に合わせ、症状による分類が加味されています。その中で便秘とは「本来、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。つまり、毎日便通がなく3日に1回でもスムーズに排便され、すっきり感があれば便秘ではありません。一方、毎日排便があっても量が少なく、排便に時間がかかる、便が硬くてコロコロ状で排便時に苦痛を伴う、排便があっても残便感がある場合は便秘と考えなければなりません。
 便秘に伴う主な症状として、肌荒れ、肩こり、イライラ、頭痛、腰痛、お腹の張り、食欲不振などのほか、大腸がんの原因にもなると知られています。
 慢性便秘には、大腸疾患やその他の内臓疾患で大腸が圧迫されて便の通りが悪くなる"器質性便秘"と、特に腸に異常はないものの腸の機能低下で起こる"機能性便秘"に分けられます。
 多くの方が悩まれる"機能性便秘"は、さらに排便回数減少型(大腸通過遅延型・大腸通過正常型)と排便困難型(硬便による排便困難・機能性便排出障害)に分類することができます。

 

 

慢性便秘のタイプ

①機能性便秘

◎排便回数減少型
 排便回数や排便量が減少することで、腸に便が過剰に貯留し腹痛や腹部膨満感などの症状を生じます。
「大腸通過遅延型」
 大腸の便を輸送する能力が低下し排便回数や量が減少します。
 高齢者に多くみられ、原因がわからない突発性便秘、甲状腺機能低下症、便秘型過敏性腸症候群などによっておこる症候性便秘、抗精神薬や薬の副作用による薬剤性便秘があります。
「大腸通過正常型」
 大腸が糞便を輸送する能力が正常にもかかわらず、排便回数や量が減少する便秘症状。若い女性に多くみられ、原因として、糞便の元となる食事量や摂取内容が少ないため糞便量が減り、排便回数が減少、硬便のため出しにくくなるなどがみられます。

◎排便困難型
「硬便による排便困難」
 排便回数や、排便量は減少していませんが便が硬く、硬便のため排便困難や過度にいきまないと出ない、コロコロとして少ない便で残便感があるなどの症状がみられます。
「機能性便排出障害」
 骨盤底筋協調運動障害、腹圧・直腸感覚収縮筋の低下など機能的な病態により、直腸にある糞便を十分量かつスムーズに排出ができない状態。便意を脳に伝える力、便と捉えて押し出す力が弱くなっていることが原因と考えられます。

 

②何らかの疾患が原因とされる器質性便秘

 一般的な便秘症でなく、何らかの疾患により便秘が引き起こされている場合を器質性便秘といいます。たとえば、腸に腫瘍ができていたり腸閉塞などがあります。急な便秘の症状に加え、下血やおなかの張りを伴う症状などがあるときは医療機関を受診することをおすすめします。

 

便秘の解消には生活を見直すことから

 便秘を解消したい方は、まずは生活を見直すことからはじめましょう。
 腸の病気などが原因の便秘を除いて、一般的な便秘の多くは規則正しい生活を心がけ、生活のリズムを整えることで、規則正しい排便を行うことにつながります。便意を我慢せずにトイレに行くようにすることも大切です。
 また、日常的に適度な運動を行うことで腸の動きが促されます。食習慣では規則正しく食事を摂取すること。特に朝食の摂取は体内のリズムを整え、胃や腸を刺激し排便を促しやすくします。朝食後など決まった時間にトイレに座る習慣をつけると排便の習慣も整いやすくなります。
 こまめに水分補給することで便がやわらかくなりスムーズな排便につながります。

 

 

食事における心得

 

①食物繊維をしっかり摂取
 男性21g以上、女性18g以上/日(厚生労働省の摂取目標量18歳~64歳の場合)
※豆類、穀物、根菜などに多く含まれます。
②朝食をとる
③水分はこまめに補給
④ 善玉菌を増やす

 腸内に便が長時間たまると、異常発酵が起こりアンモニアなどの悪臭のある有害物質が生じます。それにより頭痛・腰痛、肌荒れなどの原因になります。
善玉のビフィズス菌やビタミンB群を積極的に摂取することで異常発酵を防ぐことができます。

 

 

運動における心得

 運動は消化器を活発にして排便を促します。運動は20~30分程の軽いもので十分です。また、腹筋力をつけることでも排せつを円滑にしてくれます。

~腸のマッサージも効果的~
① はじめに仰向けに寝て、お腹の周りを時計回りに円を描くようにゆっくりとマッサージします。このときのポイントはあまり強く行わず、なでる程度に優しく20回ほど行います。
② 次に両手を重ねて、指先に少し力を入れて小腸のあるおへそ周りを時計回りに順に押していき、指先を移動させます。これを2、3周ほど行います。硬いところがあったら宿便の可能性があります。硬いところを重点的に押してみましょう。軽く痛みを感じる程度に行うのがポイントです。

 

 生活習慣の改善に努めてもなかなか改善がみられない場合は、漢方で血行を促進して温まりやすくしたり、胃腸そのものの働きを整えたりすることもできます。
 原因や体質に応じてご利用いただけますので、ご相談ください。
 快食・快便は健康の基本ですね。

※このページの内容は2024年2月23日現在のものです。

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