漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.27「関節の痛み」にお悩みの方へ
漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回はヘパーデン結節という「関節の痛み」に悩む方に読んでいただきたいお話です。
更年期女性に多い?ヘパーデン結節とは
「ヘパーデン結節」とは、40歳代以降の女性に多く発生し、指の第1関節が変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。第1関節の背側の中央の伸筋腱(しんきんけん)付着部を挟んで2つのコブ(結節)ができるのが特徴で、赤く腫れたり、曲がったりし、痛みを伴う場合もあります。
母指(親指)にも症状が現れることもあり、ひどくなると第1関節の動きも悪くなり、痛みがあるため、かばんや重たいものなどを持つことにも影響が出ます。
長い間、原因不明とされており、根治できる治療方法は現在も見つかっていません。対症療法として、痛み止めなどの薬、局所のテーピングのほか、関節内ステロイド注射なども行われますが、ひどい場合は手術になることもあるようです。
エストロゲンの減少も原因の一つか
これまでは「歳のせい」「使いすぎ」として放置されがちでしたが、近年になって原因の一つとしてエストロゲンが減少することで、指の関節を包む膜(滑膜)がダメージを受けやすくなっているのではないかとの研究結果が出てきました。40代以降の女性に多いことから、更年期の女性でエストロゲンが急激に減少することで発生するのではないかともいわれています。
エストロゲンは腱や滑膜(関節を包む膜)の腫れを取る抗浮腫作用があることから、閉経して急にエストロゲンが減り、関節などに炎症が起こるということです。
エストロゲンとは?
エストロン、エストラジオール、エストリオールなどの卵胞ホルモンを総称して「エストロゲン」と呼ばれています。「女性を創るホルモン」とも呼ばれていて、子宮などの生殖器の成長や2次性徴に関係しています。
ヘバーデン結節には次のような症状が多く見られます。
・指の第1関節がズキズキと痛む
・指の第1関節に水疱ができる
・手が握りづらくなる
・指がむくんだり、こわばる
様子を見ていて、時間とともに回復するような症状ではなく、進行すると、変形がひどくなり、指が自由に動かせなくなることもあります。
女性ホルモンが低下することで骨や軟骨などの減少による腰痛、膝の痛み、歩きづらい、関節の変形や痛みが見られ、生活にも影響が及びます。
漢方薬で整えることも
更年期女性という観点から漢方薬で整えるのも効果的です。
骨の生成に関係する「副甲状腺ホルモン」は骨や腎臓に働きかけて血中カルシウム濃度を上昇させる働きがあるとされています。
漢方では、「副腎・甲状腺などの内分泌系、骨」をつかさどる「腎」を補うことと「ホルモンバランス・自律神経・蔵血」の役割をもつ「肝」を整えることで、女性ホルモンの分泌低下によるバランスの乱れを回復し、穏やかな更年期をサポートしていきます。
個人差はありますが、年齢とともに「気・血・水・精」が減少し栄養不足となり「虚証」=体の弱りを生じることが筋骨格系のトラブルが発生する背景として考えられますので、年齢や体力に見合った生活習慣を心がけましょう。
《心がけたい生活習慣》
○食事で十分な栄養をとる
○継続できる適度な運動
○過度にストレスをため込まない
○疲労回復に足りる睡眠をとる
○規則正しい生活リズム
※このページの内容は2024年3月22日現在のものです。