漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.36「しもやけ」にお悩みの方へ
漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は寒くなる時期に経験した人も多いと思われる「しもやけ」についてのお話です。
血行を良くする生活習慣を
冷えが気になる時期は、手先や足先が赤紫色になり腫れてしまう「しもやけ」に悩まされる人が増えます。幼児期から学童期に起こりやすいですが、成人や高齢者も発症します。
しもやけになると、ジンジンとした痒みやヒリヒリとした痛み、ムズムズとした症状が気になって集中力を欠いたり夜もぐっすり眠れないなど、日常生活にも影響が及ぶことも少なくありません。
寒暖差の激しい環境により血流障害をきたし、炎症を起こすことで毛細血管の集まる身体の末端部分が赤紫色になり、腫れ上がります。
しもやけが起きやすい部位
外気にさらされる頻度が多く、細い血管が多く通っている身体の末端、手足の指、耳たぶ、頬や鼻先などでは、しもやけが起きることがあります。
悪化すると水ぶくれができて、破れると潰瘍(かいよう)になるおそれもあります。
しもやけが増える時期
1日の中で10℃程度の気温差がある気候だと起こりやすいといわれ、寒い地域だけでなく、温暖地でも気温差があると発症することがあります。
寒いときには血管は収縮しやすく、暖かいときには血管は拡張します。寒さと暖かさにより、血管の収縮と拡張が繰り返されることで血流渋滞を引き起こし、しもやけとなるのです。
ですから、常に痒いわけではなく、暖かい屋内に入ったときや入浴時など、末端部分が温まったタイミングでより感じやすくなります。
しもやけの原因
基本的には血液循環の渋滞によりますが、寒さ以外にも要因が挙げられます。
特に体質的に血流障害をきたしやすい人はしもやけを発症しやすく、遺伝的な素因とも関係があると考えられていますが、気候に関係なく症状が出る場合は、免疫疾患など全身の病気によることもあるため病院で診察を受けることをおすすめします。
個々のライフスタイルに合わせた対策を
しもやけは医学的には「凍瘡(とうそう)」という皮膚病として扱われます。治療には、基本的に血行をよくする内服薬や塗り薬、炎症やかゆみを抑える薬などが処方されますが、慢性的に繰り返す場合や複数か所に起きる場合は、漢方治療もおすすめです。
漢方治療では血行が悪くなる要因に合わせて、体質に合った処方を継続的に服用することにより全身の血流を安定させることで徐々にしもやけになりにくい体質をめざします。
血行が悪くなりやすい要因としては、冷えやすさが関係していることも多く、冷え体質の改善も効果的です。
しもやけは個々人のライフスタイルにより対策することが大切です。
◎寒暖差が大きくなるとしもやけになりやすいので、気温に合わせて服装を変えるなど防寒対策をしましょう。カイロや耳当てなども効果的です。
◎汗でぬれた状態を放置すると冷えやすくなるため、汗をかく人の方がより「しもやけ」になりやすいことから、湿気や汗への対策をしましょう。手汗には手袋(湿った状態で着け続けない)も効果的です。
◎靴下や靴の締め付けにより足先の血流が悪くなることがありますから足を締め付けるような靴を長時間履いたり靴下の重ね履きによる圧迫などにも注意しましょう。
温暖化の影響や空調管理により、寒さによるトラブルは予防できる環境が整った現代ですが、逆に寒暖差やストレスなどによる体温調節の不具合も起こりやすくなっているのではないでしょうか。
入浴はシャワーだけでなく湯船につかりリラックス、暖かい部屋にいるからといって冷たい飲食物をとり過ぎないようにするなど、日常生活でも血行を良くする生活習慣を心がけましょう。
※このページの内容は2024年12月13日現在のものです。