漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.58 「神経痛」にお悩みの方へ
漢方理論をもとに女性の悩みに応えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回のテーマは「神経痛」です。誰もが、何らかの経験をしているのではないでしょうか。

神経の痛みは体からの情報
日常的に「神経痛」という言葉をよく耳にしますが、実は特定の病気の名前ではなく原因となる病気が引き起こす症状を表します。
「腰から太ももの裏にかけて、ビリビリする」「胸のあたりに、突然ピリッと痛みが走る」「顔を触っただけで、電気が走るように痛む」などの症状があると、「神経痛かな?」と考える人も多いでしょう。
「神経痛」とは、神経が刺激されたり圧迫されたりすることで起こる、痛みやしびれなどの症状をまとめて表す言葉です。
そのため、「痛みをどう抑えるか」だけではなく、「なぜ、その神経に症状が出ているのか」を知ることが大切です。
そもそも「神経」とは何をしているのでしょう?
神経は、脳と身体の各部分をつなぐ情報伝達のネットワークのようなものです。
たとえば、熱いものに触れたとき、「熱い」と感じて手を引っ込める行動は、皮膚から入った情報が神経を通って脳に伝わり、その情報をもとに身体が反応しているものです。
神経には、触覚や温度、痛みなどを伝える感覚神経、筋肉を動かす運動神経、内臓や血管などの働きを調整する自律神経がありますが、このうち、痛みやしびれに深く関係するのが感覚神経です。
神経そのものが傷ついたり、周囲から圧迫されたり、炎症などによって刺激されたりするときに出される"神経の異常な信号"が、「ビリビリ」「ジンジン」「ピリピリ」「焼けるような感じ」「電気が走るような痛み」といった特徴的な症状として現れることがあるのです。
神経痛の特徴
神経痛では、痛みが神経の通り道に沿って広がることがあります。
たとえば腰の神経が圧迫されると、腰だけでなく、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれが出ることがありますが、「足が痛いから足に問題がある」とは限りませんし、逆に、腰痛があるからといって、必ず神経が原因とも限りません。
筋肉、関節、靱帯、骨、内臓など、痛みの原因と症状が必ずしも一致しないのが「神経痛」を理解するポイントです。
神経が関係する痛みの特徴として、筋肉痛では、身体を動かしたときや押したときに痛みを感じることが多いのに対し、神経が関係する痛みでは、何もしていなくても痛んだり、ピリピリ・ジンジンとしたしびれを伴ったりすることがあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、「電気が走るような痛み」「焼けるような痛み」「針で刺されるような痛み」と表現されることもあります。
神経痛の分類
①よく知られている「坐骨神経痛」
神経痛の中でも、よく耳にするのが「坐骨神経痛」です。
坐骨神経は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足に向かって伸びる大きな神経です。
この神経や、そのもとになる神経が刺激されると、お尻から脚にかけて痛みやしびれが現れることがあります。
原因として代表的なのが腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症です。
腰椎椎間板ヘルニアでは、背骨の間にある椎間板の一部が飛び出して神経を圧迫することで、腰やお尻から脚にかけて痛みやしびれが起こることがあります。
また、腰部脊柱管狭窄症では、加齢などによって脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで症状が現れます。
「歩くと脚が痛くなったりしびれたりするけれど、少し休むとまた歩ける」という症状は、腰部脊柱管狭窄症でみられる特徴の一つです。
②胸や背中が痛む「肋間神経痛」
胸や背中に突然、ピリッとした痛みが走る場合は、「肋間神経痛」と言われます。
肋間神経は、肋骨と肋骨の間を走っている神経です。
この神経が刺激されると、背中から胸、脇腹にかけて、肋骨に沿うような痛みが出ることがあります。
身体をひねったり、深呼吸したり、咳をしたりすると痛みが強くなる場合もあります。
心臓や肺、血管などの病気でも胸の痛みが起こることがありますので、胸の痛みが突然現れた場合や、息苦しさ、冷や汗、吐き気などを伴う場合には、神経痛だと思い込まず、速やかに医療機関へ相談する必要があります。
③顔に突然激痛が走る「三叉神経痛」
三叉神経痛は、顔の片側に突然、非常に強い痛みが起こる病気です。
「電気が走るような痛み」「刃物で刺されるような痛み」と表現されることがあります。
食事をする、歯を磨く、顔を洗う、冷たい風に当たるなど、普段なら痛みを感じない程度の刺激がきっかけになることもあります。
三叉神経の近くを走る血管が神経を圧迫することが、代表的な原因の一つです。
歯科で治療しても痛みが続く場合などには、三叉神経痛が関係していることもあります。
④帯状疱疹のあとに残る「神経の痛み」
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが神経に沿って再び活動することで起こります。
身体の左右どちらか一方に、痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが現れるのが特徴です。
皮膚の症状が治っても、神経へのダメージが残ると、ピリピリ、ジンジン、焼けるような痛みが続くことがあります。
これを「帯状疱疹後神経痛」といいます。
特に年齢が高くなるほど、帯状疱疹後神経痛が残るリスクは高くなるとされています。
⑤神経痛の原因がわからないこともあります
特発性神経痛とは、検査をしても痛みの原因となっている病気が見つからない神経痛のことです。
たとえば、舌咽(ぜついん)神経痛、上腕神経痛、後頭神経痛などです。
また、冷えやストレスとの関係も注目されています。
「原因がわからない=何も問題がない」という意味ではありません。
神経の痛みは、検査だけでは断定しにくい場合もありますので、痛みの場所、性質、発症時期、症状が悪化する動作などを丁寧に確認することが大切になります。
痛みを悪化させないためにできること
神経痛の原因によって適切な対処法は異なりますが、日常生活で心がけたいことはいくつかあります。
まず、長時間同じ姿勢を続けないこと。デスクワークなどで座り続ける場合は、ときどき立ち上がって身体を動かしましょう。
また、重いものを急に持ち上げる、腰をひねる、無理な姿勢を続けるなど、痛みが出る動作を繰り返さないことも大切です。
痛みがあるからといって、強く揉んだり、無理に伸ばしたりするのも避けましょう。
特に原因がはっきりしていない段階では、自己流のマッサージやストレッチが適しているとは限りません。
ただし、医師や理学療法士から運動を勧められている場合には、指示された範囲で身体を動かすことも大切です。
自宅でできるセルフケア
●体を温める: 入浴(38~40℃のぬるめのお湯)や蒸しタオルで痛む部分を温め、血流を促して筋肉の緊張をほぐします。
●楽な姿勢を保つ: 無理な体勢を避け、神経が圧迫されない楽な姿勢で安静にします。
●痛みが落ち着いたらストレッチ: 痛みが引いた時期に、お尻や腰まわりを無理のない範囲でゆっくり伸ばすと血行が良くなります。
●漢方の活用:血行促進、痛み緩和、ストレスや疲労の軽減など総合的にサポートします。
神経痛には、神経の圧迫、炎症、脊椎の病気、帯状疱疹など、さまざまな原因が隠れている可能性があります。痛みを「身体からの情報」ととらえ、痛みに逆らわず無理なくできることから取り組んでみてください。
(症状や背景には個人差がありますので、個々人の状態に合わせてご参考にしてください。)
※画像は生成AIを利用して作成しています
※このページの内容は2026年10月16現在のものです。








