ファイナンシャル・プランナーに聞くお金の話【7】急激な円安・物価高時代の家計対策!
「お金」に関する情報を、お金のプロであるファイナンシャル・プランナーに聞くこの連載。今回は急激な円安・物価高時代にできる家計対策についてのお話です。
物価高から家計を守る対策は
2年にも及ぶコロナ禍の影響による経済の混乱に加え、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、小麦や原油などの価格の急騰!
2022年3月に1米ドル/114.82円であった為替が、4月末には130円程まで円安が進み、その後も円安が続いています。
そして、6月からの食品の一斉値上げが話題になっています。
急激な円安と共に、食品や光熱費など日常生活をおくる上で、欠かせない物の価格が上がったおかげで、家計が厳しくなったと感じている人も増えてきているでしょう。
そこで、円安と物価高の関係性や物価高から家計を守る対策についてお伝えします。
1.円安と物価高はどのように連動しているか?
下図は、2020年以降の為替の推移と前年同月比のエネルギーや生鮮食品を含めた消費者物価指数の推移です。
出典:総務省統計局「消費者物価指数」
2022年4月には、物価上昇率は2.5%に跳ね上がり、特に光熱費は、前年同月比20%以上の上昇です。
では、円安になるとどうして物価が上昇するのでしょう。
日本は、エネルギー資源や食料品のほとんどを輸入に頼っています。
そして、輸入品のほとんどが米ドル決済にて取引されており、円安になると輸入価格が上がることになります。
(例)2021年度の原油輸入総額630億ドル
1ドル/100円 であれば 6兆3000億円
1ドル/135円 であれば 8兆5050億円
2.国内生産品さえも値上がりする理由は?
生鮮食品の場合は、天候不順や海水温度の上昇による収穫・漁獲量の減少という理由も大きいでしょう。
それだけではなく、円安によるエネルギー価格の上昇からくる電気代や燃料価格・石油製品の高騰、そして穀物価格の上昇からくる小麦製品、肉類などの高騰など多岐にわたって影響があります。
3.円安・物価高への家計対策
(1)固定費の見直し
固定費とは、生活をおくる上で必ずかかる費用です。一度の見直しで半永久的に効果が見込めます。
①住居費の見直し
・家賃の安い物件への引っ越し(引っ越し代などの経費も含める)
・住宅ローンの借換え
②電気・ガスの契約見直し
③通信環境の見直し(スマートフォン・固定電話・Wi-Fi)
④生命・損害保険の見直し
*5月20日ファイナンシャル・プランナーに聞くお金の話【5】を参照してください。
(2)収入アップを図る
給料が上がらないリスクに備えて、勤務先の就業規則に準じて、副業などに取り組む必要を感じます。
*1月21日ファイナンシャル・プランナーに聞くお金の話【1】を参照してください。
(3)資産の運用方法の見直し
長期運用の視点から円安に備えて、海外株式や債券で運用している投資信託に投資を始めることが考えられます。ただ、短期的な円高に備えて、多額の資産を外貨建て商品に投資することは避けて下さい。時期・商品分けなどの分散投資を勧めます。
4.食糧危機への懸念
コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、価格上昇どころか食料危機で暴動が起きている国が出始めています。
その一つが、スリランカの小麦危機です。ロシアとウクライナは、世界の穀物庫で小麦の一大生産国で、エジプト・トルコ・パキスタン・バングラデシュといった国では、サプライチェーンが断ち切られる形になっており、食糧危機が近い将来大きな問題になる可能性があります。
今後、日本に対する影響とは、価格の上昇のみならず、世界の食糧輸出国が食糧安保、エネルギー安保の動きを強め始めれば、日本も食糧危機となる可能性があります。
早急に自前のエネルギーと食糧の確保が求められます。
【情報提供】
独立系FP事務所 セントラルパートナーズ代表
筒井博之さん
★ならリビングでは、家計についての相談を受け付けます。
詳細はこちらをご覧ください。
「ファイナンシャル・プランナーに聞くお金の話」過去の話はこちらから
【1】2022年働き方改革!! 押さえておきたい「副業」のポイント
【4】おひとり様の心得
※このページの内容は2022年7月15日現在のものです。