ファイナンシャル・プランナーに聞くお金の話【15】2024年度多子世帯・理工農学生への給付型奨学金制度の拡充
誰もが気になる「お金」に関する情報を、お金のプロであるファイナンシャル・プランナーに聞くこの連載。今回は奨学金制度についてのお話です。
望まれる「給付型」奨学金の拡充
大学や短大などを対象とする奨学金制度の多くは返済が必須な「貸与型」です。卒業後に返済に苦しむ方があり、不安なく利用できる「給付型」の拡充が望まれています。
2020年度より開始された「高等教育の就学支援新制度」は、住民税非課税世帯などが対象で、給付型支援と授業料や入学金の免除を実施しています。
初年度は約27万人、2021年度は32万人に対して支援を行い、成果を上げています。
一方、制度の対象外となっている中間世帯への支援が、今後の課題となっています。
対象を中間所得層にも拡大へ
2022年12月12日に開かれた教育未来創造会議では、中間所得層の「子ども3人以上を扶養する多子世帯」と「理学部・工学部・農学部の学生」に対象を拡大し、返済不要の給付型奨学金と授業料減免することを提言しました。
給付型奨学金の支給と授業料の減免は、年収の目安が380万円未満の低所得者の世帯の学生を対象に進めていますが、中間所得層の多子世帯や理学部・工学部・農学部の学生への対象拡大の制度改正を進めたうえで、2024年度からスタートさせる計画です。
理系分野の学生の割合引き上げに
学生が就職後、一定収入に達した段階から授業料を返済する出世払い方式の奨学金については、制度改正を実施したうえで、2024年度からスタート予定であるとしています。
2022年5月現在35%程度にとどまっている理系分野の学生を、デジタル・脱炭素などの成長分野である理工農系の学生数を5割程度に引き上げるための施策だとも言えます。
【情報提供】
独立系FP事務所 セントラルパートナーズ代表
筒井博之さん
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※このページの内容は2023年3月3日現在のものです。