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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.12「かゆみ」にお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに答えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は乾燥する季節に多い、「かゆみ」にお悩みの方に読んでいただきたいお話です。

 


「かゆみ」は内臓の状態を表すもの

 

 「かゆみ」は他人には伝わらない辛い症状のひとつですね。
 害虫や有害物質など原因がわかっているものもあれば、ふとした時から治まらなくなってしまったもの、アレルギーなど体質や生活に関連するものや、生理周期などホルモンバランスのように周期性のあるものもあり、個々人によりかゆみもそれぞれといえます。
 薬を塗ってもなかなかよくならない場合や、いったん治まったと思っても薬の作用が切れたらぶり返すような場合も見受けられます。

 「皮膚は内臓の鏡」といわれるように、漢方では「かゆみ」は、皮膚や粘膜などの表面的な不調ととらえるだけでなく、内臓の状態を表すものとして考えていきます。
 皮膚の調子は、肌そのものの強さがどうなっているかということと、内面の「気血水バランス」によりかゆみの様子も異なります。

 

①「気」に関連するかゆみ

 ストレスや感情、自律神経に相当するものとして、漢方では「気」であらわします。
 気分、元気、気力などのように、直接確認できる物体ではありませんが、"なんとなく感じる" ことで、行動や判断にも影響するという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 「気」は私たちが生きていくために必要なエネルギーであり、「血」や「水」という物質に作用して体じゅうを巡らせる役割を担っていますが、ときに停滞したり不足したりすることもあるのです。
 たとえば、試験前になるとストレスが強くなりかゆみが増すという方は、ストレスにより「気滞」が起こり皮膚の炎症という形で発散していると考えられます。
 また、忙しく「気」を使い過ぎると不足して「気虚」となり、代謝が低下して栄養分が偏り、かゆみにつながることもあります。

 

②「血」に関連するかゆみ

 漢方では「血」は「ち」ではなく「けつ」と読み、いわゆる「ち」そのものの働きだけでなく、栄養という範囲も含んでとらえます。
 肌の様子は、「血」の状態そのものを表すと捉えて考えていきます。
 血の色や量、循環のスムーズさから、かゆみの要因を予測することができます。
 たとえば、偏食や貧血傾向など血が量的に不足していたり、女性であれば月経血の色が淡いなどは「血虚」となり、皮膚への栄養が十分に足りないため、カサカサしたり乾燥によるかゆみも起こりやすくなります。
 また、血行不良で日常的に冷え性や肩こりなどがあるような場合は「瘀血」となり、しもやけや赤ら顔など、巡りに偏りが生じてしまいます。

 

③「水」に関連するかゆみ

 「水」も「みず」ではなく「すい」と読み、血液以外の体液全般ととらえますが、かゆみに関わる要素としては、水分代謝の要となる「腎」を挙げます。
 「腎」は、漢方では老化と関係し、腎の衰えは潤いの減少につながります。
 年齢が上がるにつれ、お肌に異常はないのに、乾燥しやすくなるため、かゆみが出やすくなってくるのです。

 「気」「血」「水」は、互いに関連し合ってバランスをとっていますので、どれかが過剰になっても不足しても全体の調子として不安定になってしまいます。
 肌質が安定し、かゆみが長引かないようにバランスをとるには、体内で「気」「血」「水」を生成する胃腸の働きが良好であることが大切です。
 不足しやすい要素を補うことを意識しながら、胃腸に負担をかけない食事を心がけることによってかゆみを軽減することにつながります。

 

◎摂り過ぎに注意したい食べ物
(※一例です。個々人によりご相談をおすすめします)

 

①刺激や性質によりかゆみの増強につながる可能性が考えられるもの
甘いもの(例:甘い菓子など)
香辛料(例:唐辛子、激辛カレーなど)
コーヒー
生もの・冷たいもの(例:刺身、アイスクリーム、清涼飲料水など)
アルコール類(ビール、酒など)
たばこ等

 

②消化吸収しにくいため代謝の停滞につながる可能性が考えられるもの
油もの(例:揚げ物、スナック菓子など)
加工食品・化学添加物(例:ファストフード、ケーキなど)
高たんぱく(例:牛乳、チーズ、たまご、大豆など)等。

 

◎食べ方のポイント
・ゆっくりよくかんで食べる。
・低塩、低脂肪、低糖分を基本に。
・食欲のない時は葉菜類の雑炊やスープなどを活用。
・無理に食事せずに休息も。

 

☆ ☆ ☆

 

 現代人の「かゆみ」は、飽食、過食、ストレスなどをため込み過ぎたことによってバランスを崩したり、胃腸に負担をかけたりしていることが要因であることも多いようです。
 漢方薬も原因や体質、生活習慣などに応じてうまく利用することで、より効果的に不調にアプローチすることができます。
 カラダが喜ぶ食事を心がけ、健康的で快適な毎日を目指していきましょう。

※このページの内容は2022年12月16日現在のものです。

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